AIはいつ仕事を奪ってくれるか問題
公務員の仕事なんて、後10年でAIが奪っていくぜ
あの、いつ奪ってくれるのでしょう? 僕はずっと待っています。10年くらい前からずっと。
AIブームから早何年でしょうか。確かに、ビックデータと呼ばれる大量のデータをもとに、文書を作成したり絵を描いたりはできるようになりましたよね。
皆さんの中にはすでにchatGPTの技術を活用して仕事に生かしている人もいるのではないでしょうか。
奪ってはくれませんがアシストはしてくれていて、うまく使えている人にはかなりの時短になっていると思います。
例えば、chatGPTはかなーーり優秀なテキスト型AIで、伝えたことをほぼほぼ正確に表現してくれます。正直chatGTPには助けられてばかりです。
実践chatGPT
一例をお見せします。どうせ丹精込めて作っても一読もしないあいさつ文を、長のために大量の時間を投入して作っているそこのあなた。参考にしてください。
どうですか?若干違和感の残る日本語かもしれませんが、土台作りとしては合格点をあげてもいいのではないでしょうか。
chatGPTは伝えたい内容きちんと盛り込む必要があり、正しい指示を出せばきちんと反映してくれます。また、この文章の生成にかかった時間は10秒ほどで、人間が考えるよりも何十倍も速いのです。
「何かあいさつ文を考えてくれ」と言われたらとりあえずAIに尋ねてみて、良さそうなら採用するという方法で仕事の内容を大幅に減らせると思いますよ。
また、エクセルのマクロを組ませるにもchatGPTがすごく便利。
連続した印刷は公務員には必要不可欠な作業ですよね。僕は何百人分の資料を名前だけ変えて印刷したり、封筒に印字したりします。その際にエクセルのマクロ機能を使わずに手動で印刷するようなことは時間の無駄だし誰もしていないと思うのですが(役所で誰かが作ってくれてあると思う)、自分でも少し調整したいときもあります。
そんな時はVBA(エクセルのマクロを動かすための記述式)を知っていなくてもマクロ記録(自分で一連の動作を行い、それをマクロに記録させる)ことで大抵のことは何とかなったりします。
しかし、やはり細かな調整をしたいならVBAを直接いじるに限る。
正直、僕はVBAに関しては素人です。出力してくれた式を見て、「なんか定義してるなー」とか「多分僕の印刷範囲なら調整はいらないなー」とかがなんとなくわかる程度です。当然一から作ることもできません。
ですが、できないならできないなりにいろいろできるもんだと最近気づき、AIさんを大いに活用させていただいております。
chatGPTは無料で利用できるので、興味があれば使い方をネットで検索してみてください。
自治体でのAIの活用
正直これは遅々として進んでいないですね。一部LINEのような配信媒体では応答を自動AIにしているのですが、この精度がとても悪い。8割くらい「分かりません」と返してきやがります。
まぁ、LINEのAIチャットというのはAIとは名前がついても1対1対応しかできない代物なので本当に対応させたければもっとたくさん基礎データをぶち込む必要があるんでしょうね。
スマホも触ったことがない人たちもいる中で、もう少し分かりやすく市民に対して情報提供できる場面が必要だと思います。役所って、結局問い合わせ先とかが分からなさすぎるんですよ。どんだけ別れているねんっていう感じ。
僕も役所の中でいながら、電話がかかってきたときに「どこの部署だっけかなぁ」と困惑しています。なので進めるべきは役所の人間がどこでどんな仕事をしているかをきちんと把握することからかなって思います。
あと、やっぱり最新技術の入った機能を作って満足してしまっている節がありますよね。僕的にもっと利便性をよくしたいってスタンスなので、情熱を利便性に注いでしまいます。まんべんなく器用な公務員には向いていないのかもしれません(笑)
皆さんの自治体では庁内の業務をどのように共有していますか? よければ教えて下さい。
また、AIを使った最先端の話題も聞きたいです。コメントお待ちしています。
屋外ではAI技術が大いに活用されているようです
令和5年6月10日のニュースですが、防犯カメラの映像をAIが監視し、不審者がいれば人間に知らせるという技術。
近年ではどうしても子供たちの安全が叫ばれる中、人間が常に防犯カメラの映像を監視することは不可能。そんな中でも「不審な動き」をAIが自動で察知してくれれば防犯力はかなり高くなります。
自治体にとって、子供は宝物です。子供たちのためなら、と区長や自治会、民生委員なども動いてくれることが多いです。
しかし、高齢化の波はとどまることを知らず、政府の統計では2065年には高齢化率(65歳以上の人間が占める割合)は38%になるそうです。
AIのような最先端技術はなかなか普及しません。
時間をかけてゆっくり周りに理解をさせていかないといけない分、早めの取り組みが必要になってくるでしょう。
僕も、担当している団体の皆さんへメールで案内文を送ろうと考えていたのですが、どうやらメールアドレスすらわからない人もいらっしゃって、デジタル化やペーパーレスへの道のりの遠さを実感しているところです。
後10年もすれば世代も変わるし、デジタル化にそこまで抵抗のある人も減ってくるのかなぁなんて思ったりしている訳ですが。
悲報:役所の仕事はAIに奪われない
これから就職する方にとっては朗報ですか? 安心してください。役所の仕事は毎年複利計算で増えていきます。減ることはないでしょう。というのが僕の感想です。
複利計算とは、皮肉が籠っていますが今年追加された仕事が来年さらに重みを増すという意味です。
もともと地方分権が叫ばれる以前は国と市町村の関係は「機関委任事務」という形態でした。国がすべてを監督し、例えば市町村で新たに条例を制定できない、などの制限があったのです。
それが、今や「地方のことは地方に」という動きのもと、国から県から、市町村に大量の業務が移譲されました。
よろしければ内閣府の資料も載せておきますね。
で、仕事が移譲されたのは一度きりかというと、そんなことはありません。一度に移譲することは基本的に難しいので、少しずつ移譲されています。
例えば東京都は条例で移譲を定めたりしていますね。
こんな感じに上から下に移譲はされるんですけど、溜まった市町村の仕事はどこに行くと思いますか?
そうですね。溜まっていきます。
正確には、上の内閣府の資料にもある通り民間への委託(指定管理制度など)で投げることが出来る部分は投げるんですけど、果たしてそれがどれほどか。
結局個人情報を扱うようになってしまえば市町村に残り続ける部分が多い気がします。
施設や森林の管理などは民間に委託できますが、例えば納税の業務を民間に委託できるかと言われると難しいでしょう。
ここはやはりAIに頑張ってもらって、何とか業務量を減らしたいものです。
皆さんの意見も聞かせてください。
ソーリ、あんた早すぎるよ(泣)
ニュースの方が役所より情報早いんですよ
僕は福祉部局で働いている訳なのですが、市民からの問い合わせがあって初めて国の施策を知るということがたまにあります。確認のためにニュースを見ると確かに初めて見る施策が始まろうとしているんですよ。びっくりです。なんやねんこれ、という感じです(怒)。勘違いしないでほしいのは、国も都道府県もそういった政策担当の人たちはかなり慎重かつ優秀なので、国策を打ち出すなら事前にリーフレット的なものを市町村にも配ってくれることが多い。どうせ動くのは末端の僕ら役場単位になるので、お話は事前に振ってくれないと施策がうまくいかないからです。
しかし、トップが独断で動く場合は話が別です。
岸田総理が「非課税世帯に10万円給付します」なんて言ってしまえばそのあとに総理の周りがわらわら動き出すイメージです。
国というレベルではないですが、市町村ではトップとか部長が勝手に口走って僕らが後からしりぬぐい対応することが多いですよ。ワンマン社長じゃないんだから、せめて自分の部下にくらい調整してからことを運べばいいのに、会見とかの公の場に立つといいことを言いたがるんでしょうね・・・
会議録とかを見て
僕「部長こんなことを言ってるけど皆さんこれ知ってましたか?(困惑)」
先輩「何これ(笑)」
課長「それは俺も怒ってる」
みたいなやりとりは、会議の後のあるあるですね。
住民税非課税世帯向け10万円の給付
令和4年度に住民税非課税世帯に向けて臨時特別給付金が支給されたのを知っていますか?
全国の市町村で、多少の時期に差はあれど、令和3年度分または令和4年度分のの所得をもとに、住民税均等割額が非課税の家庭に一律10万円をプッシュ型(勝手に送る)で支給するというものです。
総理が言っちゃった後に僕らが気づいたやつなんですけど、この支給の整備も周りは大変苦労していました。まずは電話対応の多さです。
A「ニュースみたんだけど私は非課税なのでしょうか」
僕「承知しました。調べますので少しお待ち下さい」
B「ニュース見たんだけど、あれっていつから支給されるの?」
僕「鋭意準備中です。もうしばらくお待ちください」
C「隣の市町村ではもう支給されたって聞いたけど」
僕「自主財源でもあったんですかね? うちを含め99%の自治体はまだなので安心してお待ちください」
D「あなたたちはいいわよね。私たちの税金で食べられるんだから」
僕「(は? あなたたちも税金からお金もらうんですよ? そもそもあなた住民税のしかも均等割非課税なんですよね? 所得税も払ってないですよね? あなた税金一円も払ってない上に僕の税金がわずかでもあなたの生活の足しになっていると考えることはできなんですか(怒)(怒))・・・・そうですねぇ。いつもありがとうございますぅ」
といった具合です。最後は僕の心の叫びが入っていますが、大丈夫。口には出しません。
そんな感じで当初は僕ら職員が対応していたのですが、さすがに件数が多くて電話が鳴りやまないのでコールセンターも設置されました。けど、そのコールセンターも結局話し中のことが多いので僕らが対応することになるんですけどね。小さい市町村のあるあるではないでしょうか? ほかの自治体さんはどうでしたか?
次の支給は7月くらいになるのかなぁ
皆さん上のニュースご存知ですか?令和5年3月に岸田総理が発表した非課税世帯向けの3万円支給のニュースです。
流石にこの時には第3回目くらいの給付だったのでなれたものです。
しかし、不満はあります。
3月に発表するのに、ほとんどの自治体は6月を越してからしか支給されません。前年度の税情報が確定するのが6月だからです。
しかし、自分が非課税の人たちはすぐにもらえるものだと思ってしまいます。それは仕方ないことだと思います。僕でも何しなくて10万5万と入ってくるなら取り逃したくないですから。
しかも、電話を受ける中には目の不自由だったり耳が不自由だったりする方もいらっしゃって、そういう人たちは情報入ってきにくい分余計に心配されると思います。
そんな中で、実際の支給よりも数か月も前に発表されても、僕らも困りますけどもらえる人たちもずっと気にしなければいけないので大変です。
早々に打ち出すのはいいけど、今でも問い合わせは続いています。
たとえば。
「3月ごろ総理が言っていた非課税世帯向けの給付ってあるんかなぁ」
「ありますよ。手紙行くと思うんで待っていて下さい」
「そうですか。なんやもうなくなったんかと思って」
関西弁のおばあちゃんでしたが、心配ですよね。分かります。
ここからは僕の意見だけど
ところで、なんで住民税非課税世帯だけに支給するんでしょうか? 非課税世帯は低所得で可哀そうだからでしょうか? 確かにお電話を受ける中には貧困で困っている方々が多くいらっしゃって、その窮状はよくお聞きしています。
しかし、それだと納税者が納得いかないのではないでしょうか。
極端な例ですけど、所得4000万以上だと45%の所得税が発生するわけです。約半分ですよ。
平成27年分以後
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
それだけ大量の税金を納めておきながら、自分には一円も支給されない。富の再分配機能とはいえ、納税者に厳しいですよね日本は。もちろん納税者いじめはほかにもたくさんあるのでよかったら調べて見てください。
納税者いじめよりも問題だと思うのは、非課税世帯だけを選ぶコストのほうです。
実は事務処理において特定の住民だけに対して行う作業というのはコストがとてもかかります。
課税情報に間違いはないか、郵送物は正確か、問い合わせに対する確認作業、案内の周知、などなど。
問い合わせに対する返答や周知は別として、全世帯に配布ができれば膨大な事務処理は一挙に解決でき、浮いた費用でわずかでも分配を増やせると思うのです。
ちなみに、富裕層に回った分配は浪費に、低所得者に回った分配は貯蓄になりがちなので、結局政策目標である再分配も達成されるばかりでなく、市町村、富裕層、低所得者、経済、みんながハッピーにこにこな世の中になると思いませんか?
僕の個人的な考えなのでよかったら皆さんの意見も聞かせてください。ちょっと事務疲れが出ていて考えが偏っているだけなのかもしれません(笑)
最後にソーリ、やっぱり早いと思うよ・・・
6月の災害、皆さんご無事ですか?
災害時の公務員の役割
6月の初めに大雨がありましたね。その際の被害は僕も現場で目の当たりにしました。
僕が務めているのはのり面がきちんと整備されていない田舎なので、柿畑のすぐ隣の斜面が崩れて民家の隣まで雪崩れてきている現場や、山から土が流れてきて道をふさいでいる現場など、多くの被害を見ました。幸い、僕が駆け付けたところでは人のケガはなく、憔悴はしていましたが命に別状はなかったので一安心でした。
しかし、のり面の土砂を何とか応急処置する作業をしているときに通報主から「そこよりも先にこっちに来てくれ」と緊迫した雰囲気で指をさされ、向かったところ、まるで民家が水に浮いているような場所に出会いました。
場所的には山の中腹なので浸水などありえないと考えていただけに、大量の水が溜まっている状況にはとても驚くとともに中の住民は無事なのだろうかと緊張が走りました。
家は床の上に完全に浸水しているところもあり、一階ではいられないだろう。しかもご高齢の女性が居住されているとのことで、これは二階に取り残されているのではないだろうか。
通報主に彼女の安否を確認すると、すぐ隣の小柄な女性を指さして「○○さん」と住人を紹介してくれました。
ほっとしていると、女性は僕に「もうあかんか」とさみしそうな目で聞いてきました。
何を?とは聞かなくても分かりました。彼女の視線はすでに水につかった自宅を向いていたからです。
「もうだめです。僕らは被害の状況を役所に伝えに帰るので、みなさんは避難してください」
正直僕らにできることはもうありませんでした。それなら早く役所に戻り、いまだ混乱しているほかの現場に向かった方が市民のためになります。
災害時、建設部局の職員は一番最初に、その次に地域に実際に足を運ぶような部局、最後に福祉関係部局といった具合に順次応援要請がかかります。
その福祉部局の僕らまで出払っていたということは、かなりの規模の被害が出ていることが分かっていました。
それぞれ役場に電話をいただければ順番の先後はありますが、順次対応させていただけるはずです。どうか身の安全を一番に、避難指示があれば迷わず移動を開始してください。
災害時に困る、住民の行動
先輩から聞いた話なのですが、土砂で家が埋もれていたり孤立したりした住民がいると、役所レベルでどうにもならないことがあります。そういった人たちを救助するのは専用の機器を持った自衛隊の出番になることがあるのですが、そうなるとそこに人的リソースを大量につぎ込むことになります。
皆さん、自分だけは大丈夫と家にいたままなのですが、もし万が一罹災されたらその人のせいでほかの住民への対応が遅れることがあります。
令和3年5月20日付で避難勧告は廃止となりました。理由は「勧告だからまだ大丈夫でしょ」と非難しない人が多いからです。
しかもそういう人に限って高齢のことが多い。
どうか自分だけは大丈夫、などと思わないで速やかに避難してください。
最寄りの避難所が分からないときは役所に電話すれば教えてくれるので、あらかじめ確認しておいてくださいね。
ハザードマップを見直そう
ところで皆さん、ハザードマップはご覧になられたことありますか?
地方自治体では水防法によりハザードマップの作成が義務づけられていますので、役場に聞けば必ず存在しています。
そのハザードマップには自分の地域の浸水予想地域などがかなり正確に記載されていて、おおよそ水路の周りが多いです。
とりわけ、本流と合流する地点では水が氾濫しやすく、その周りが浸水被害に遭うことが多いです。
ただ、普段から大きな用水路と合流する第一級河川を見ていると、ここで水があふれて道路まで流れてくるなんて考えもつかないものです。
しかし、自然とは非常に恐ろしく、雨が続くと水位はあっという間に高くなります。
水位が高くなると用水路から水が流れずに押し戻され、結果的に道路に溢れます。
幸いにもまだ住家被害に遭われていない方も、一度ハザードマップで自分の家の周りが浸水地域になっていないかを確認してみてください。また、ご近所のかたに過去に浸水被害があったかどうかも確認してみてください。
とはいえ、浸水被害に遭ったらどうするんよ
気になりますよね。住家被害の認定・・・つまり全壊とか半壊とかの判断は、僕らから固定資産税を巻き上げる税務課が行っています。基本的には内閣府が出している指針に従って判断しますが、床の上50センチまでならいくら泥まみれでも半壊の扱いになるようです。全壊の判断は一階の1.8mの高さなので、なかなか国の判断基準は厳しいですよね。
さらに、実際に全壊となってしまっても多くの自治体はそんなに手厚いサポートはできないでしょう。見舞金として数万円程度のサポートと、一時避難先の案内、税金の猶予などはあるでしょうが、それ以上は自分の保険で何とかしてくれと言われると思います。
理由は簡単で、災害のような多くの被害が出ている場合に多くの人に手厚いサポートをしてしまうと財政が持たないからです。
逆に、多くの自治体はお金のかからないサポートなら幅広く行っていることが多いでしょう。泥を一緒に出してくれたり、道を清掃したり、避難先の食糧の提供など、受けられる支援は自治体それぞれ。もし気になる人はご自身の自治体に一度問い合わせて、実際に被害が起こった際のシュミレーションをしてみるのもいいかもしれません。
お役所は仕事が遅い? さては「起案」を知らないな?
お役所は仕事が遅い?
公務員というお役所は仕事が遅い・・・そんなことを言われて久しいです。
今日も窓口にいらしたマダムのお話を聞いていて、そんな言葉を言われました。
「市役所は本当、何をするにしても仕事が遅いんだから」
ああん? 税金を取るときは早いだろうが、などと思っても口にはしませんがいい加減言われ飽きましたね。
ちょっと待ってくださいお母さん。市役所は何も仕事が遅い訳じゃないんです。
あ、僕は市役所の職員です。
これは働く多くの人が抱えているモヤモヤだと思いますが、安心してください。公務員の皆さんは一生懸命仕事をしているのを知っています(ごく一部は除きますが)。
民間と比べて仕事が遅くなるいくつかの理由があるんです。
その一つは「決裁」と呼ばれるシステムの存在。これが非常にネックなのです。
ワンマン社長が経営する会社ならトップダウンで下ろせばいい。スピードはとても速いです。
しかし、公務員になるとそういうわけにはいかない。
仮に仕事を社長である市長がすべて下ろしたとすると、どうやら市長の頭は人間ではない。(髪の毛がないという意味ではありません)。それほど多岐にわたる内容の仕事があるのです。
そこで、99%の仕事は職員からのボトムアップとなり、その始まりが「起案」です。
起案から始まる長い旅
職員は大抵3年くらいで入れ替わるので、その道のプロ(というかいろいろな理由で移動できない人)は少ないです。なので過去の資料を見ながら同じように仕事をします。
その時、部下は上の人の判断を最終的に仰いで、GOサインが出れば業務を施行します。その最初が起案なわけですが、これがまぁ上司によってはなかなか見てくれない。
いや、いろいろ理由があるのは分かりますよ? 係長ともなれば僕たち一般の職員を何人もまとめて管理して、その起案をすべてチェックするわけですから。ほかにも係長にしかできない業務もありますから、手が回らないこともわかっています。
けれど、後回しにされたりその日に居なかったりで、とにかくハンコをもらうまでに時間がかかることが多いのです。その上には課長の補佐や課長がいるので、長い旅はまだまだ続くことが想像してもらえますよね。
しばらくぶりに見た自分の起案を見て、「こんな起案してたな」と思い出すこともあるくらいです。
少しくらいのミスなら許して…
ダメですねこんな考えじゃ。分かっていますとも。ミスはよくない。
けれど僕の起案はめちゃくちゃ止まる。長い旅の途中に座礁を繰り返すのです。
「時候の挨拶おかしくない?」「なんか一行下がってない?」「ここだけ大文字なのおかしくない?」
・・・いや、おかしいですよ。そんなの言われれば分かります。
が。
いいじゃんそんなの。赤字で訂正してくれよ。それってただの(案)だよね?
起案をしたことがない人たちにもわかりやすく伝えると、起案には「この内容で施行していい?」って内容が書いた用紙と、次のページに「この文章で相手に送るね(案)」を作成します。つまり僕らが起案の段階で作っているのは市長名や日付すら入っていない(案)なのです。
最後に正式な文章を作ったらその訂正した(案)と見比べてきちんと直っていればいいよね? ダメなの?
上の人たち曰く、汚い起案になるから駄目だそうで・・・。修正内容がみんな分かってむしろいいと思うんですけど???
はぁはぁ・・・思わず息が荒く・・・
そんなやり取りを何回もやっているといい加減疲れてきます。注意する側も疲れているとは思いますがね。
毎度すみません係長。
やっと手元に戻ってきた我が子を丁寧に修正していざ押印へ
おかえり! ようやく帰ってきたね! 「至急」って張り紙張ったのに随分時間がかかったじゃないか!
はい、そんなことは多々ありますし、むしろ「至急」の使い過ぎは上司たちから「あ、またこいつ至急とか言ってんぞ」と認識されるのであまりしないほうがいいですよ。皆さんは時間に余裕をもって起案しましょうね。
さて、赤字や修正の多く入った(案)から案の文字を消し、日付や文書番号、そして市長の名前を間違いなく入れて清書。上司に確認してもらったら公印(市長の印)を押しに総務課に向かいます。
他の役所でもおそらく同じ流れだと思うんですけど、清書した文章は自分のところの上司と総務の偉い人の二人で確認するシステムなんですね。チェック体制がかなり厳格に整っているわけです。起案する方からすれば安心ですよね。
そして市長の名前に一文字かぶせるように印を押して、ようやく一人前の我が子を拝むことが出来るわけです。よくやった僕。
おや、市役所の住所の様子が・・・・?
ポケモンならワクワクするこのシチュ。しかし公印を押した後の今となってはドキドキするシチュです。
違和感の正体をよーく観察すると。
うーーーん。住所、間違ってる!(笑)
原因をたどると、どうやら(案)の段階から間違っていたようです。んふふ。ちょっと小さい文字だったものね。係員も含めて10回くらいはみんなで見ているはずなんだけど、現場猫発動しちゃったかな? というケース。
「ずびばでん。だおしてきます(すみません。直してきます)」
涙目で総務課の偉い人にそう伝えて、紙はシュレッターしてもらいました。さようなら我が子。
もう一度自分の課に戻って清書を作り直し、提出。とほほ。
時間、かかるでしょ?
いや、お前のミスがほとんどだろうが。
それはそうなんです。ほんと。でもね、僕たちは公務員。間違いのない文章や内容で市民にお伝えするためにはある程度時間がかかることもご理解ください。
起案以外にも、相談のあった内容を審査したり、会議を開いたり、それはもうたくさんやることはあるのです。そんなわけで公務員の言い訳ブログ、始まるよーーー!